研究概要 |
1.AlGaAs系疑似位相整合波長変換素子 AlGaAs系導波路型周期反転QPMデバイスの作製プロセスの最適化を進めた。そのプロセスを用いて作製した周期7.7μmのGaAs/AlGaAs周期反転導波路デバイスにおいて,1.064μmポンプ光と1.55μm帯シグナル光との間の差周波発生により,3.4μm帯コヒーレント光の発生に成功した。実験的に得られた規格化変換効率は71%/W・cm^2で,これは,理論値95%/W・cm^2に近いもので,従来のPPLN系素子と比較して2桁近く高い効率である。また,QPM周期3.5μmのAlGaAs導波路デバイスの作製にも成功し,1.55μm帯基本波に対する高効率第2高調波発生も達成した。 2.AlGaP系疑似位相整合波長変換素子 GaP/Si/GaP副格子交換エピタキシーの技術を開発し,GaP/AlGaP周期反転QPMデバイスの作製プロセスを確立した。上記のAlGaAs系デバイスと比較するとまだ品質に難があるものの,現在波長変換特性の評価が可能な素子の作製に取り組んでいる。 3.新規位相整合法とそれを用いた非線形光学デバイス 結晶の空間反転構造を要しない疑似位相整合法として曲げ導波路やリング共振器を用いた新しい位相整合法を初めて提案し,この手法を用いた実用的な半導体波長変換デバイスの設計をおこなった。また,半導体高屈折率差扁平導波路を用いた複屈折位相整合も新たに発案し,その具体的設計をおこなった。特に,後者は単純な構造で高高率な波長変換が可能で,今後様々な応用への展開を考えている。 4.Si基板上GaAsエピタキシャル成長 微傾斜Si(100)基板上にエピタキシャル成長したGe疑似基板上へのGaAsのMBE成長に取り組み,シングルドメインのGaAsエピタキシャル膜を得ることができることを確認した。しかしながら,その副格子配列は,副格子交換エピタキシー適用不可能なものであり,これを反転させるためには成長条件の見直しが必要であることがわかった。
|