研究概要 |
1.GaAs/AlGaAs導波路QPMデバイスにおける中赤外DFG 1.064μmポンプ光と1.55μmシグナル光のDFGによる3.4μm帯発生GaAs/AlGaAs導波路デバイスの評価を進めた。特に,位相整合波長の変更依存性と温度チューニング特性を重点的に調べた。位相整合波長は,わずかに導入されている歪みに起因する複屈折性(光弾性効果)の影響を受けているものの,ほぼ設計通りの特性が得られることをあきらかにした。また,1.064μmポンプ光と1.3μmシグナル光のDFGによる5μm帯発生デバイスについても基礎的検討をおこなった。 2.AlGaAs/Alox扁平高屈折率差導波路におけるBPM波長変換 高Al組成AlGaAsの強制酸化によるAlox作製プロセスの最適化をおこない,これを用いてAl_<0.5>Ga_<0.5>As/Alox高屈折率差導波路の作製に成功した。1.55μm基本波に対する第2高調波発生で構造複屈折を利用したBPMが可能なデバイスを設計し,これを精度よく作製できるようになった。現在,作製したデバイスの性能評価を進めている。 3.周期空間反転AlGaAsエピタキシャル膜の結晶性評価 高分解能X線回折法を用いて,周期反転AlGaAsエピタキシャル層の結晶性評価を初めておこなった。予想通りのスードモルフィック相に加えて,周期反転試料特有の奇妙な歪相の存在が確認された。また,これらの相の歪が光弾性効果を介して位相整合特性に及ぼす影響について考察し,従来の実験結果がほぼこれで説明できることをあきらかにした。 4.Si基板上への集積化 Si基板上にCVDで成長したGeエピタキシャル層を疑似基板として用い,この上でMBEによるGaAsのエピタキシャル成長をおこなった。適切な線上処理とアニーリングを事前に施すことで,APDフリーなシングルドメインのGaAsエピタキシャル成長が可能であることを見いだした。 5.電流注入デバイス 電流注入デバイスの作製をおこなう準備として,ドーパント導入可能なMBEチャンパーの整備を行った。
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