研究概要 |
1.AlGaAs/Alox扁平高屈折率差導波路におけるBPM波長変換 高Al組成AlGaAsの湿式酸化によるAlox作製行程の最適化をおこない,これを用いた作製プロセスによって波長1.55μm基本波に対する第2高調波発生で構造複屈折を利用したBPMが可能なAl_<0.5>Ga_<0.5>As/Alox高屈折率差導波路の作製した。波長可変外部共振器型LDを基本波光源とした波長変換実験をおこない,HIC-BPMが達成されていることを初めて確認した。 2.周期空間反転AlGaAsエピタキシャル膜の評価 各種の精密構造評価法を用いてQPM波長変換デバイスの基本構造である周期空間反転GaAs/AlGaAsの評価をおこなった。高分解能X線回折法を用いた結晶性評価の結果,周期反転AlGaAsにはわずかな結晶軸傾きやAPB由来と思われる面欠陥が存在することがわかった。また,周期反転GaAsには極めて小さいながらもあきらかな格子歪が存在し,光弾性効果を通じて位相整合波長に影響を与えていることが定量的にあきらかになった。暗視野透過電子顕微鏡観察により,周期反転GaAs/AlGaAsの格子極性を極めて明瞭に観察できることを初めて示した。カソードルミネッセンス測定により,周期反転AlGaAsにはGa/Al原子の異方性表面拡散に起因する組成変調が不可避的に存在することが初めて示された。また,反転・非反転境界(APB)は予想どおり非発光性再結合中心が高密度で存在すること,Ge中間層上にエピタキシャル成長した反転ドメインの発光効率が非反転ドメインよりも低いこともあきらかとなった。 3.ジグザグ疑似位相整合(ZQPM)デバイスの設計と作製 GaPベースとAlGaAsベースのZQPMデバイスの最適設計をおこない,極めて高い効率が得られる可能性があることを示した。また,高次モードを用いたモード位相整合に積層方向の空間反転構造を導入した横方向擬似位相整合(TQPM)とZQPMを組み合わせたハイブリッド位相整合デバイスを初めて提案し,その特性を定量的に解析した。常温接合法を用いてこの種のデバイスを作製する方法を考案し,その基本的なプロセスについて検討をおこなった。 4.電流注入デバイス 半導体波長変換デバイスに対する電流注入の効果を定量的に解析し,10^<18>cm^<-3>オーダーのキャリア注入をおこなうだけで,わずか2mm長のデバイスで1000%/Wをはるかに超える超高効率波長変換が実現できることを示した。
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