研究概要 |
本研究では数100mm平方の広い面積にナノメートルオーダの超微細構造が展開された加工物を対象とする広域ナノバターンジェネレータ(ANGEL)を開発すると共に,それを用いてナノ加工を行い,その加工機構とナノ加工特性の解明を研究目的としている.平成19年度は主として,超精密微細加工システム(ANGEL)の機能・構造を拡張し,更なる機能高度化を行なった.その結果,以下の研究成果を得た. (1)エアタービン駆動超精密空気静圧主軸のタービン形状について空気流の圧力分布に着目した解析を行なうことによって,高速回転・低消費流量を実現するタービン形状の設計指針を得た.さらに実際に種々の形状のタービンを試作し,実験的に評価を行なった.その結果,最高回転数60000rpmを実現するエアタービンを実現した. (2)開発済みのXY平面ナノ位置決めテーブルの駆動範囲を拡張するための原理確認として,現有の1自由度超精密テーブルに提案するハイブリッドリニア駆動機構を組み込み位置決め特性評価を行なった結果,長ストロークにおいてナノメートルオーダの位置決め特性が実現可能であることを実際の駆動実験により確認した. (3)加工システム全体をエンクロージャで閉鎖環境とし,精密空気温度制御ユニットから全体に恒温の空気を供給することにより長時間の熱的安定性を確保した加工システムを実現した. (4)切削工具刃先近傍に製作したマイクロセンサを用いて超精密加工中の加工温度モニタリングを行い,その結果を超精密加工機にフィードバックすることにより,加工温度の拘束による超精密加工の適応制御を実現した.
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