研究課題
本年度は、超精密形状計測装置における法線ベクトルを測定する光学系を昨年度の設計に基づき製作した。この光学系を開発した直交する2軸ゴニオメータと1軸の直進ステージに搭載し、球面を形状計測できる装置を完成した。本装置の性能を評価するとともに、球面ミラーの形状を計測した。また、従来の計測法で同じ球面ミラーの形状を計測し、その形状計測結果を比較した。さらに、回転対称形状を高速に測定する2軸ゴニオメータから構成される超精密形状測定装置を試作し、その性能を評価した。まず、光学系を製作し、その性能を評価したところ、法線ベクトルの測定精度が0.2μradであり、設計通りであった。球面形状を計測するために、3軸の高精度ステージを数値制御するとともに、3軸のエンコーダ出力と法線ベクトルを測定する4分割フォトダイオード(QPD)出力をコンピュータに読み込む計測システムを構築した。3軸のエンコーダ出力とQPD出力を同時に読み込むことによって、数値制御系における位置定常偏差と速度定常偏差は、形状測定精度に影響を与えない。実際に、R=400mmの球面ミラーの形状を計測し、繰り返し精度が1nm程度であることを明らかにした。また、同じ球面ミラーを3次元測定機(パナソニックUA3P)と位相シフトファイゾー干渉計(ZYGO GPI)で測定した結果、それぞれの誤差範囲内で測定形状がほぼ一致した。さらに、回転対称形状のための超精密形状計測装置のプロトタイプ機を製作し、R=25mmの凸球面ミラーの形状を高速に計測した。本装置の繰り返し精度は、設計通り10nmであり、曲率半径が小さな球面でもnmオーダーの形状測定が可能なことを実証した。今後、試料を設置する2軸のゴニオメータを設計・製作することによって、当初計画した5軸同時制御の超精密形状計測装置をシステムとして完成し、自由曲面の形状計測が可能になる。
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The European Physical Journal Special Topics VOL. 167
ページ: 113-119
http://www.upst.eng.osaka-u.ac.jp/2lcoe/atom/measure.html