研究概要 |
プラスチックフィルムや紙などの二次元的な広がりを有する連続柔軟媒体は,ウェブと総称され,新聞などの印刷物や写真,磁気テープなどの情報記憶媒体として,また液晶フィルムなどのディスプレイ用素材として極めて有用である.ウェブを搬送し,途中処理工程を経て最終的に巻き取る技術は"ウェブハンドリング技術"と呼ぼれ,フィルム,紙,金属薄膜などの製造分野をはじめとして広範囲の産業分野において導入されている重要基盤技術である.とりわけ昨今における機械の高効率化,高性能化のニーズの中で,製品精度を損なうことなくウェブを安定して走行させ,かつ適切な処理を行うことがキーテクノロジーの一つとなってきている. 平成19年度は,ウェブハンドリング上の重要技術課題の1つであるフィルム巻き取り時のしわ,巻きずれなどのディフェクト予測モデルの構築とその実験的検証に取り組んだ.具体的にはフィルム巻き取り時における巻き取りロール内部の応力解析をフィルム素材の粘弾性や巻き込み空気層によるヤング率の低下などの影響を考慮して実施した.すなわちロールの弾性方程式とソフトEHL理論を組み合わせて数値解析をすることにより,半径方向,円周方向,軸方向の応力分布を求めた.その結果,例えば円周方向の応力が圧縮となる領域でウェブにしわが生じると予測されるので,これを実験的に検証した.さらに,このようなしわの発生を防止する手段として,巻き取り時の張力をロール半径方向に最適に変化させる方法を検討し,その効果を実験により確認した.
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