研究概要 |
本研究では,マイクロデバイス内の3成分速度分布計測法であるマイクロ3次元PIVを開発すると共に,時系列変動を含むマイクロ4次元PIVへの拡張を行う.また,蛍光や燐光を用いて酸素濃度や温度などスカラー値を多次元計測する技術を開発する. 1)マイクロ3次元PIVシステムの確立 H21年度はH20年度に引き続き,マクロスケール特有のデフォーカス法に着目して2次元3成分速度場情報に時間軸を加えた3成分速度の3次元計測を試みた.高速度カメラで撮影される画像は2次元断面における粒子画像であるが,粒子が焦点面から奥行き方向に移動することによってピンボケが発生し粒子像の大きさが変化する.これを利用して,粒子の水平2次元移動量と,垂直1次元移動量を計測する.H20年度の手法では奥行き方向について,上向き流れか下向き流れかといった点が不明瞭であったため,2つまたは3つのピンホールを用いて,焦点面外では1つの粒子像が2つに分かれて結像する特性を利用する手法を用いた計測を実施した. 2)マイクロ流動デバイス実験とマイクロ多次元スカラー計測システム開発 H21年度は,スカラー量に依存して発光強度や発光寿命が変化する燐光剤をマイクロ粒子と合成し,マイクロ感温粒子及びマイクロpH感応粒子,マイクロ酸素濃度感応粒子を開発した.pH感応粒子によるシステムでは2つのピンホールを用いた3次元マイクロPIVシステムに2種類の光学フィルタを取り付け,2波長強度比によるpH測定感度,応答レンジを明らかにした.感温粒子及び酸素濃度感応粒子では,ピンホールを用いる方法と用いないシステムを検討し,そのシステムのスカラー量応答性を明らかにした.また,奥行き方向への粒子移動による燐光寿命・強度の変化を明らかにした.位置情報を示す粒子に温度依存性を持たせることによって,世界初の多次元温度分布計測システムの開発が可能であることを示した.
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