研究概要 |
本研究には,フレキシブルマイクロメカニズムに関して,基盤技術の確立と,実際のメカニズムの実現による可能性実証の2つの目的がある 基盤技術については,21年度は,1) ゴム表面のオゾンガス処理によるゴムの表面改質プロセスを確立した.これにより,10ミクロン以下の微細ゴム構造の接合が安定して行えるようになり,成形できるフレキシブルマイクロメカニズムの範囲を大きく広げた.また,今後,機能性ゴムシートにおける摩擦状態制御,ならびに流体制御デバイスにおける親水/疎水性制御にも適用できる.また,2) 20ミクロンワイヤカットによる金型成形とゴム転写技術を碓立し,高アスペクト比の数10ミクロンオーダのゴム構造体を構成できるようになった. 特に,21年度は,これまでに確立した基盤技術を活用して,様々なフレキシブルマイクロメカニズムを設計,試作し,フレキシブルマイクロメカニズムの可能性実証に力を注いだ.具体的には,1) マイクロ受動歩行型低摩擦ゴムシート,2) 能動大腸内視鏡,3) マイクロ湾曲アクチュエータ,4) マイクロチェックバルブに関し,研究を進めた. 1) については,昨年マイクロ受動歩行の基礎モデルの実現に成功したので,これに基づいて,改造,小型化,集積化を進め,マイクロ光造形法により成形した精密型の利用により,120脚のマイクロ受動脚を有するゴムシートを実現し,受動歩行に成功した. 2) については,多段の新型構造のアクチュエータを実現した.従来の物に比べて極めて有意な走行性能を示し,ファントム試験において,S状結腸の形状を保ったまま,横行結腸まで侵入できるようになった. 3) については,外径2mmの湾曲型ラバーハンドを実現し,魚卵等の安定した把持が行えることを示した. 4) については,マイクロ流体制御デバイス用のゴム製マイクロ一方向弁を設計,試作し,マイクロポンプに組み込んで評価を行った.その結果,従来のモデルに比べて2倍流量特性が向上した
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