研究課題/領域番号 |
19206029
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日高 邦彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90181099)
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研究分担者 |
熊田 亜紀子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20313009)
松岡 成居 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (10114646)
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キーワード | 電気機器 / 電気材料 / SF6代替ガス / 環境対応 / 電気絶縁 / CF3Iガス / ガス絶縁方式 / 温暖化係数 |
研究概要 |
地球温暖化係数が高く、規制対象ガスの一つであるSF6ガスに代わる絶縁ガスの研究・開発が求められている。本研究ではSF6代替ガスとして、温暖化係数がCO2並みに小さくまた絶縁性能がSF6ガスに匹敵するCF3Iガスを利用した環境に優しい高性能ジス絶縁方式の構築を目指している。 CF3Iガスが新しいガス絶縁方式に適用できるか、その可能性を探るためにまずは必要な基礎データの取得を行った。様々な電極構成(平等電界ガスギャップ、不平等電界ガスギャップ、絶縁物沿面を有するガスギャップ)に急峻方形波電圧を印加し、絶縁特性を取得しSF6ガスと比較した。また、環境への影響を評価する観点から、放電によって発生した分解ガスの定性および定量分析を行った。そこ結果をまとめると以下の通りである。 (1)平等電界において、CF3IガスはSF6ガスの1.2倍程度の火花電圧を示すが、極端な不平等電界下ではCF3Iガスの火花電圧はSF6ガスの0.7倍程度となる。 (2)電界利用率が0.3〜0.4の範囲でCF3IガスとSF6ガスの絶縁特性がほぼ等しくなる。 (3)ガス中の放電によってC2F6、CHF3、C3F8、C3F6、C2F5Iの5種類のガスが生成されている。 (4)分解生成物の生成量の比は充電エネルギー比ではなく印加電圧比に近い値を取る。 (5)ガスの劣化と電極にヨウ素が付着することによって絶縁特性が約11%低下しており、分解生成ガスの総量から考えると、この絶縁特性の低下の原因は電極にヨウ素が付着することにあると考えられる。 (6)絶縁物沿面を有するガスギャップにおいて、誘電体表面が清浄な状態でのCF3Iガスの沿面フラッシオーバ電圧はSF6の1〜1.2倍に達するが、数十回沿面フラッシオーバが起こった後の沿面フラッシオーバ電圧はSF6の約0.6倍に低下する。 (7)沿面放電によって生成されたヨウ素が誘電体表面に付着し、それが絶縁性能の低下の原因となっている。
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