研究概要 |
地球温暖化係数が高く,規制対象ガスの一つであるSF6ガスに代わる絶縁ガスの研究・開発が求められている。本研究でけSF6代替ガスとして,温暖化係数がCO2並みに小さくまた絶縁性能がSF6ガスに匹敵するCF3Iガスを利用した環境に優しい高性能ガス絶縁方式の構築を目指している。 CF3Iガスが新しいガス絶縁方式に適用できるか、その可能性を探るために必須となる基礎データの取得を昨年度から継続して行った。特に、本年度は、電気絶縁上の最弱点となり得る絶縁物上の沿面放電に関する実験データの蓄穂を図った。具体的には絶縁物沿面を有するガスギャップに急峻方形波電圧を印加し、絶縁特性を取得しSF6ガスや空気と比較した。また、環境への影響を評価する観点から、放電によって発生した分解ガスの定性および定量分析を行った。その結果をまとめると以下の通りである。 (1)PTFEを絶縁物とする沿面フラッシオーバにおいて、大気とSF6では上昇法とV-t特性の最低火花電圧にほとんど差が見られないが、CF3Iでは大きな差が見られた。 (2)CF3Iガス中で沿面フラッシオーバが生じると、絶縁物表面に放電による分解生成物であるヨウ素が付着し、絶縁性能が低下する。 (3)絶縁物表面にヨウ素が付着していない場合でもCF3Iガス中の沿面フラッシオーバ電圧は気体中スパークオーバ電圧の70%ほどであり、絶縁物表面にヨウ素が付着した場合は約3分の1にまで低下する。 (4)CF3Iガスの圧力が0.1MPaから0.2MPaに増加すると沿面絶縁性能が1.5倍ほど上昇する。ヨウ素が付着する前の最低火花電圧とヨウ素が付着した後の最低火花電圧との間で比較すると、圧力変化による上昇比率は1.55倍と1.37倍であり、高圧であるほどヨウ素の付着の影響が大きくなっている。 (5)放電回数と分解生成ガスの関係を調査した結果、C2F6、C2F4、CHF3、C3F8、C3F6、C2F5Iの6種類のガスが観測され、それぞれの濃度の増加は放電の回数に比例していることがわかった。
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