研究課題/領域番号 |
19206034
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岩本 光正 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40143664)
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研究分担者 |
間中 孝彰 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (20323800)
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キーワード | マックスウェル変位電流 / 柔構造有機分子膜 / 光第2次高調波発生 / 有機デバイス / キラリティー / 単分子膜ドメイン / キャリア伝導 |
研究概要 |
本研究の目的は、柔構造有機分子膜を総合的に取り上げ、「界面のフレキシブル性と界面電気現象との関係」、「界面の電子構造と量子的なドメイン形状の制御」、「有機FET構造を用いた柔構造分子膜素子の伝導特性評価と有機量子形状効果素子の試作・特性評価」という研究を実施することである。本年度は「水面上単分子膜の量子的なドメイン形状制御」および、「顕微SHGによる有機FET構造体チャネルポテンシャルの評価」に焦点を絞り研究を進めた。水面上単分子膜に関する研究では、キラル棒状分子(DPPC)からなる単分子膜が、電荷による静電的な相互作用が膜構造に及ぼす影響について検討した。具体的には、sub phaseに含まれるイオンが膜形状(BAMおよび表面圧-専有面積特性で観測)に及ぼす効果を実験的に観測し、これを形状方程式によって説明することに成功した。また、形状方程式を拡張する試みとして、マックスウェル応力を考え、これがドメイン形成に重要な役割を果たしていることを明らかにした。一方、有機FETに関する研究では、構築した顕微SHG法によるデバイス中の電界分布評価システムにより、材料中の移動度を評価できること、またトラップなどの寄与も分離して評価できることなどを示した。さらに、定常状態において観測される電界分布を詳細に検討し、等価回路モデルによりその分布を説明できることを示した。また、材料中のトラップを積極性に制御する試みとして、ナノ粒子を絶縁体表面に分散させ、トラップが特性に及ぼす効果についても検討した。その他にも、インピーダンス分光や電場変調分光法など、SHGや通常の電気的特性評価とは異なる手法による評価をスタートさせ、多角的にデバイスの物理を明らかにするという観点からも研究を進めている。
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