研究課題
本研究では、極端な明暗差にも対応できる広ダイナミックレンジ特性と超高感度特性とを両立する次世代の撮像デバイスの実現を目的としている。本年度は、試作した32倍までの可変利得を持つイメージセンサにおいて、相関多重サンプリングに基づく信号処理を用いて画素内の微小サイズのトランジスタが発生する支配的なノイズ成分であるRTS(Random Telegraph Signal)ノイズを効果的に低減できることを明らかにした。特に、本研究者が提案するRTSノイズの統計的性質に着目した新しい信号処理手法であるHBRR(Histogram-based RTS-noise reduction)法を試作したイメージセンサに適用した結果、サンプリング点数が1点の場合と128点の場合を比較して、約10分の1まで低減できることが明らかになった。また、RTSノイズの電子の捕獲、放出時定数の異なる画素出力に対して適用し、比較的遅い時定数の場合に、その低減効果が大きいことがわかった。その試作結果を踏まえ、RTSノイズがトランジスタのサイズ、チャネル構造によってどのような統計的振る舞いするかを明らかにするため、RTSノイズ評価用イメージセンサ(素子パラメータを変えた多数のリニアイメージセンサを集積)の設計と試作を行い、その基本動作まで確認を行った。これらの成果は、イメージセンサの画素デバイスが発生するRTSノイズを統計的な信号処理によって低減できることを初めて示したもので、学術的にも価値のある成果であるとともに、本処理は、超高感度特性と広いダイナミックレンジを両立できる方式であるため、その効果を試作したデバイスに適用して確認できたことは、本研究課題の最終目標に向けて、大きな前進であると考えられる。
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