研究課題
本研究では、極端な明暗差にも対応できる広ダイナミックレンジ特性と超高感度特性とを両立する次世代の撮像デバイスの実現を目的としている。本年度は、画素内の微小サイズのトランジスタが発生する支配的なノイズ成分であるRTS(Random Telegraph Signal)ノイズを効果的に低減する手法として、相関多重サンプリングに基づく信号処理とノイズ発生源となるトランジスタに対する駆動電流のスイッチングの組み合わせによるノイズ低減法を提案し、試作によってその効果を確認した。試作したデバイスは、RTSノイズがトランジスタのサイズ、チャネル構造によってどのような統計的振る舞いするかを明らかにすることを目的として、素子パラメータを変えた多数のリニアイメージセンサを集積したものである。試作デバイスの測定の結果、駆動電流のスイッチングと相関多重サンプリングは、トランジスタのチャネル面積の比較的大きい素子においてより効果的であり、全画素内トランジスタのノイズのヒストグラムが、低ノイズ側に集中することが示された。これは、イメージセンサの画素デバイスが発生するRTSノイズがトランジスタに対するスイッチング動作と統計的な信号処理によって低減できることを初めて示したもので、学術的にも価値のある成果である。また、関連する成果として、画素内で1光子により発生した1電子の検出と廃棄の制御が行える新構造に、カラムでの低ノイズの読み出し技術を適用することで、100psに迫る分解能をもった時間分解型イメージセンサが実現できることを示した。これは1電子検出を目的とした本研究の成果を、バイオイメージング等に応用する上での重要な成果であり、実用化により医学や生物学の研究に大きく寄与することができ、社会的にも価値のある成果であると考えられる。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) 図書 (4件) 産業財産権 (4件)
IEEE Trans. Electron Devices vol. 56, no. 2
ページ: 214-221
J. Inst. Image Inf. TV Eng. vol. 62, no. 12
ページ: 2037-2044