研究課題
本研究では、極端な明暗差にも対応できる広ダイナミックレンジ特性と超高感度特性とを両立する次世代の撮像デバイスの実現を目的としている。本年度は、相関多重サンプリングに基づく信号処理の結果、達成できるノイズレベルの測定結果とトランジスタサイズ、電荷電圧変換ゲインとの関係、並びに画素内のトランジスタを微細化した際のRTS(Random Telegraph Signal)ノイズの理論式に基づき、量子化処理による無雑音電子検出に必要な0.1電子のノイズレベルを実現する条件(1電子あたりの変換利得が3mV)を明らかにした。相関多重サンプリングを適用した試作デバイスにおいて、ヒストグラムのメジアンで1.1電子という極めて低雑音の特性が得られた。また、相関多重サンプリング処理を用いた高感度イメージセンサの試作結果により、RTSノイズに対するノイズ低減効果として、相関多重サンプリング処理によるカットオフ周波数がRTSノイズの遷移周波数を下回る程度にサンプリング回数を増加させたとき、回数の平方根に反比例してノイズが低減される傾向を持つことが示された。これらは、イメージセンサのRTSノイズが信号処理で低減できることを示すものであり、学術的にも価値のある成果である。関連する成果として、画素内で1光子により発生した1電子の検出と廃棄を、電荷排出動作だけで制御する新構造の着想を得、シミュレーションにより1n秒以下で1電子を高速に振り分けることができることが示された。これは1電子検出を目的とした本研究の成果を、バイオイメージング等に応用する上での重要な成果であり、本研究課題の成果を今後の関連研究に発展応用できるものである。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件)
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