研究概要 |
本研究課題では,中継ノードに複数アンテナを用いたMIMOメッシュネットワークの概念を構築し,またハードウェア試作を行うことでその実現性を検証することを目的としている.実施1年目となる平成19年度は,(1)MIMOメッシュネットワーク送受信アルゴリズムの構築,(2)MIMO-OFDMメッシュネットワークにおける無線リソース割当て方式,(3)MIMO中継ノード用ソフトウェア無線機の開発,の3つのテーマに取り組んだ. (1)MIMOメッシュネットワーク送受信アルゴリズムに関する研究では,1次元のMIMOメッシュネットワークにおいて,双方向ストリームの空間多重と与干渉被干渉回避を同時に実現する分散MIMOネットワークアルゴリズムを提案し,シミュレーションによりその有効性を検証した.その結果提案法を用いることでメッシュネットワークにおける課題を解決し,従来法に比べて4倍程度にネットワークスループットを改善できることが分かった.これにより中継ノードに複数アンテナを用いたMIMOメッシュネットワークの基本概念を確立できた. (2)MIMO-OFDMメッシュネットワークにおける無線リソース割当て方式に関する研究では,日本国の950MHz帯アクティブ系小電力無線システムを用いたセンサーネットワークの構築を想定し,950MHz帯の5MHz帯域幅に相応しいOFDM信号フォーマットを検討し,そのフォーマットに基づいた無線リソース割当て方式を提案した.次年度はMIMOアルゴリズムに基づく空間リソースとの融合を図る予定である. (3)MIMO中継ノード用ソフトウェア無線機の開発では,上記950MHz帯アクティブ系小電力の技術基準に適合した4アンテナからなるMIMOソフトウェア無線機を開発した.ハードウェアはアレーアンテナ,4チャネルトランシーバ,AD/DA機能を備えた信号処理ボードから構成される.本年度は4台のトランシーバを用いたOFDM信号の送受信までの検証を行っている.次年度は中継機能を実装しマルチホップネットワークの実験を行う予定である.
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