研究課題/領域番号 |
19206046
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
庄子 習一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00171017)
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研究分担者 |
関口 哲志 早稲田大学, ナノ理工学研究機構, 准教授 (70424819)
荒川 貴博 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (50409637)
船津 高志 早稲田大学, 薬学研究科, 教授 (00190124)
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キーワード | MEMS / MicroTAS / マイクロ流体デバイス / 生体分子ソーティング / 細胞破砕 / PolymerMEMS / ナノインプリント / 3次元微細加工 |
研究概要 |
本研究では、細胞から生体一分子を、機能を損なうことなく抽出・分離・集積し、その機能観察及び計測をリアルタイムに行う、新しいマイクロ流体システムの構築を目的としている。この目的を達成するにはマイクロ流路内で「細胞破砕」、「DNA、RNA、タンパク質の分離」、「生体分子抽出」、「分析」等の操作を可能にすることが必要で、初年度である本年度はこれらの要素技術の開発を行った。「細胞破砕」に関しては、ニューマチックマイクロバルブの構造を応用し、流路にナノ突起構造をアレー状に配置したマイクロ細胞破砕デバイスを開発した。鋭いナノ突起構造を数マイクロメータごとに配する構造を実現するため、ガラスのウエットエッチングに関してHF系エッチング液組成と形成条件の最適化を行った。その結果、細胞をトラップしながら破砕し、ミトコンドリアおよびリボソームを形状を保ったまま、抽出できることを確認した。「生体分子の抽出」に関しては熱感応性ハイドロゲルをキャリアーとして用いるマイクロ生体分子ソータの改良を行い、従来のシースフロー型高速ソータを1つの圧力源で駆動できる実用的なシステムを開発した。ソーティング時間は5msecと高速で、90%以上の精度で分離できることを確認した。このシステムを用いて、細胞内容物からミトコンドリアの抽出を行ったところ、92.5%の精度で分離することができ、2次元電気泳動の結果からミトコンドリアの有効な分離が可能であることが証明された。また、マイクロ流体システム製作のための要素技術として、プラスチック構造体表面の親水化手法の開発を行った。開発した方法はポリウエラを用いたもので、親水性表面を従来になく長時間維持できることを確認した。また、同じ処理を施したプラスチックどうしを低温で張り合わせることができるため、マイクロ流路形成にあたって親水化処理を省けるという利点もある。
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