研究課題
1.偏波レーダーとビテオゾンデを同期させた降水粒子の観測:平成21年5月24日~6有20日にかけて沖縄で実施し、本年度は合計16台のビデオゾンデを放球した。過去の2ヶ年の観測により層状性降水システムのデータが得られているため、本年度は観測が困難である対流性降水システムも含めて観測対象とし、2事例の対流性降水システムの良好なデータを取得できた。2.偏波レーダーによる降水粒子タイプの判別手法の開発:3ヶ年にわたる同期観測のデータを用いて、どのような降水システムにも適用可能で、かつ、複数種類の混在状態を表現可能な降水粒子タイプの判別手法の開発に取り組んだ。本年度は3ヶ年にわたる数多くのデータを用いた場合における整合性に注意を払いながら判別手法を開発し、特に偏波間位相変化率を使用する閾値を工夫し、氷晶粒子をうまく判別できるようにした。また、混在状態を考慮した判別をしても、7割近くの的中率という高スコアを得た。この判別手法の開発によって、今後、データ同化による降水予測に大きな進歩をもたらすものと期待できる。3.融解層における雪片の粒径推定:雪片粒子融解モデルを用いて、偏波レーダーパラメータと環境場の気温から、融解層における雪片の最大粒径の推定手法を開発した。相関係数0.87の高スコアを得ることができた。4.降水システムの違いによる霰形成メカニズムの解明:ビデオゾンデで撮影された霰粒子の形状に着目し、扁平率と断面積比という二つのパラメータを用いて霰形成メカニズムを解析した。対流性降水システムにおいては丸い霰の割合が多く、一方で、層状性降水システムにおいては不規則な形状の割合が大きいことを示した。5.氷晶生成過程の解明:ビデオゾンデの一種である雲粒子ゾンデHYVISを用いて、困難とされる氷晶の観測を実施した。データ解析を進めていくことで、今後、雲微物理過程モデルを改良していく。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (11件)
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