研究概要 |
本研究課題では,平成20年度において,災害に強い地域社会の形成技術を具体化するうえで必要不可欠である基礎的な知見を得ることを目的として以下のような研究成果を得た. (1)地域の災害リスクに関する情報提供ツールの開発:平成19年度の成果を踏まえ,一般住民に居住地域の災害リスクと被災時の具体的な対処行動に関する情報を提供するツールを,人のリスク情報理解特性を踏まえて開発した.具体的には,災害総合シナリオ・シミュレータを利用者の個人属性まで反映することのできるシステムに改良したり,紙媒体によるハザードマップの改訂版として,地域の災害リスクを伝える"気づきマップ"といざというときの対処行動に関する情報を伝える"逃げどきマップ"を試作した. (2)地域防災力向上のためのリスク・コミュニケーション手法の検討:個人単位,地域単位で災害に対する備えの行動を促進するために,一般住民に提供すべき情報内容の精査だけでなく,送り手と受け手の双方向のコミュニケーションはどうあるべきかを検討した.その知見を踏まえ,三重県尾鷲市市民を対象に,津波避難個別相談会を開催し,そこでの地域住民とのコミュニケーションの検証を行った. (3)発展途上国における地域防災活動の実態把握:防災施設の整備や行政の災害時対応力が十分ではない発展途上国における災害常襲地域の現状を調査することから,行政に依存しない自律した地域防災を実践するための知見を得た.具体的には中米コスタリカの水害多発コミュニティのコミュニティ防災活動の実態をヒアリング調査した.
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