研究概要 |
汚染された水に起因する疾病は,開発途上国では最も深刻かつ緊急を要する環境問題である。アジアの開発途上国では生活排水,産業排水等の未処理放流により公共水域の汚濁が深刻化しており,安全な水資源と水環境を確保することが困難な状況にある。それゆえ途上国が適用可能な下廃水処理システムを整備してゆくことが要求されている。本研究では、下水を処理するシステムとしてUASB-DHSシステムのリアクターを設置し、実下水を用いてリアクターの処理性能の把握を行っている。その他高濃度のアンモニアを含む排水を想定し、DHSリアクターのみでの処理性能の把握を試みた。両リアクターともリアクター温度は調節せず、また好気処理のための曝気も行っていない。下水処理システムはこれまでのところ安定した処理性能を示している。高濃度アンモニア処理リアクターは、温度変化が処理性能に与える影響が大きいのではないかという知見が得られている。両リアクターとも今後も引き続きモニタリングを行い、リアクターデザインに改良を加え、よりよいシステムの開発を目指す。この他、リアクター中の微生物叢解析を開始した。下水処理リアクターにおいては、嫌気性処理法であるUASBリアクターの後段に好気性処理リアクターであるDHSがあるため、DHSリアクター内の微生物群集構造は通常の活性汚泥とは大きく異なるものであった。今後更に微生物群集構造を解明することで、処理メカニズムを解明する。また高濃度アンモニア含有排水を処理するリアクターの微生物群集構造についても解析を行い、処理メカニズムを解明する。
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