本研究の目的は、(1)空調設備システムの機器応答・エネルギー消費に関する情報および(2)室内環境・知的生産性・行動などの人間の応答に関する情報を、オーブンなネットワーク上で収集蓄積し、建築物のエネルギー消費量の削減と居住者の知的生産性・快適性のバランスを最適化するための、(3)建築用ソフトコンピューティング(やわらかな情報処理)技術を開発することである。居住者の知的生産性や人間行動、あるいは設備機器の部分負荷効率など、対象システムの特殊性が大きく表れると推測される場面においてはやわらかな情報処理手法が不可欠である。本研究ではこのソフトコンピューティングを利用してオープン化BMSの内部を流れる情報の処理を行おうとしている点が独創的である。従来のように抽象化された期待値としての設備システムと期待値としての人間像に基づく準最適化ではなく、設備システムと居住者の個性を膨大なデータに基づき把握することで、一品生産的な最適化が可能になる。本年度は、空調・設備システムに関しては、これまでの研究成果を取りまとめ最終年の総括を行った。室内環境と知的生産性および人間行動に関しては、特徴的な空調・設備システムを導入したオフィスビルにおいて室内環境計測を行った。また、オフィスビルにおいて居住者の行動調査を行うとともに知覚空気質と満足率に関する実験を行った。既往のオフィスビル実測や既往の実験との比較を行った。(1)~(3)の項目に関して知見を統合し最終年として研究成果の取りまとめを行った。
|