研究課題/領域番号 |
19206068
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鶴見 敬章 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70188647)
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研究分担者 |
武田 博明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00324971)
保科 拓也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (80509399)
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キーワード | 誘電スペクトル / 強誘電体 / 分極 / ペロブスカイト化合物 / エリプソメトリー |
研究概要 |
咋年度までに開発した測定技術を駆使して、ペロブスカイト型強誘電体に残される幾つかの不明な点を解明した。チタン酸バリウムセラミックスの誘電特性が、粒子径により異なるいわゆる「サイズ効果」の原因を明らかにするために、粒子径の連続的に異なるチタン酸バリウムセラミックスを作製し、kHzからTHzに至る超広帯域誘電スペクトルを測定して、誘電分極機構によるサイズ効果の挙動について研究した。特に、粒子径1μm以下の試料をエアロゾルディポジション法により自立膜として作製し、熱処理温度を変えることで粒子径を広範囲に変化させたときの誘電率の変化を明らかにした。研究の結果、信頼性の高い誘電率の変化を得るとともに、サイズ効果はドメイン壁が一定の距離以下に近づいたときに、ドメイン壁間の相互作用により双極子分極が減少し、さらに、高誘電率を生む格子歪が導入された領域が減少することが原因であることを突き止めた。また、常誘電体であるチタン酸ジルコン酸ストロンチウムにおける各フォノンのイオン分極への寄与を定量化し、各フォノンと誘電物性との相関を議論した。チタン酸バリウム系強誘電体についても、そのリラクサー化現象のメカニズムをイオン分極と双極子分極の両者の定量化により明らかにした。強誘電体相転移の近傍における分極メカニズムについて、本研究で開発した超広帯域誘電スペクトル測定法を用いた解析を行い、強誘電体、散漫相転移誘電体、リラクサー誘電体に至る過程での分極メカニズムの変化を明らかにすることで、ナノサイズの分極領域(ナノポーラー領域)における分極ゆらぎがリラクサーに至る過程での誘電特性の変化を支配することを突き止めた。さらに、ペロブスカイト型人工超格子の誘電異方性を明らかにし、計算機シミュレーションに基づき結晶化学的にその原因を考察した。
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