研究概要 |
本研究は、我々が開発したガラス表面の位置選択的結晶化法、すなわちレーザー誘起原子加熱法(希土類原子加熱法と遷移金属原子加熱法)を様々な機能を有する単結晶パターニング形成に展開し、一般的、汎用的技術として確立、構築すると共に、機能性材料創製に新たなブレイクスルーをもたらすことを目的とする。本年度得られた結果を以下に示す。 ○レーザー誘起原子加熱法の適用によって、LiNbO_3,BaTiO_3,Sr_<1-x>Ba_xNb_2O_6,Gd_xBi<1-x>BO_3などの光非線形性/強誘電性を示す結晶化ラインパターニングを行い、X線回折、偏光ラマン散乱分光、第二高調波強度の方位依存性などの測定から、これらの結晶ラインはいずれも単結晶的な高い配向を示すことを明らかにした。 ○Nd:YAGレーザー以外の半導体レーザー(波長:795nm)およびYb:YVO_4(波長:1080nm)ファイバーレーザーもレーザー源として有効に働くことを明らかにした。特に、ファイバーレーザーはレーザービームを絞ることが可能であり、高配向性結晶ラインパターニングに向いていることを見出した。 ○レーザー誘起原子加熱法を次世代リチウム二次イオン電池用正極材料として期待されているLiFePO_4系に適用し、LiFePO_4結晶が高度に配向したライン形成に成功した。また、酸フッ化物ガラスにも適用し、フッ化物結晶を含むラインパターニングも可能であることを実証した。 ○レーザー照射による構造変化誘起と化学エッチングの組合せはガラス表面の微細加工に極めて有効であることを示し、実際にU字溝型構造のチャンネルやガラス表面上への機能性結晶ドット配列などに成功した。
|