本研究は、我々が開発したガラス表面の位置選択的結晶化法、すなわちレーザー誘起原子加熱法(希土類原子加熱法と遷移金属原子加熱法)を様々な機能を有する単結晶パターニング形成に展開し、一般的、汎用的技術として確立、構築すると共に、機能性材料創製に新たなブレイクスルーをもたらすことを目的とする。本年度得られた結果を以下に示す。 ○光非線形性結晶KNbO_3、Er^<3+>/Yb^<3+>ドープCaF_2結晶、Y_3Fe_5O_<12>ガーネット結晶をレーザー誘起結晶化法でパターニングすることに成功し、この手法の一般性を実証した。レーザーによる結晶パターニングにおいて、レーザー照射条件の他に、ガラス組成の最適化が極めて重要であることを明らかにした。 ○強誘電性LiNbO_3結晶のドットおよびラインをガラス表面上にパターニングし、偏光ラマン散乱スペクトルで結晶の成長方位を決定した。また、結晶形態とレーザー照射条件との関係から、レーザー照射領域の温度分布(勾配)が配向を誘起すること、また、高配向の結晶ライン形成には、核形成の確率を小さくするために、温度分布幅を狭くすることが必要であることを提案した。 ○レーザー照射領域のピッチを単一のライン幅よりも大幅に狭く(ラインの重ね合わせ状態)することによって平面状(二次元)のβ-BaB_2O_4結晶のパターニングに成功し、結晶配向、レーザー走査方向と結晶成長方位との関係を明らかにした。平面状にパターニングされた結晶は、単一の結晶ラインと同様に高配向を示すことを実証し、レーザー誘起結晶化法により、ガラス表面上に二次元エピタキシャル(平面状)結晶のパターニングの実現可能性を提案した。
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