研究課題/領域番号 |
19206072
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
蔡 安邦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90225681)
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研究分担者 |
亀岡 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (60312823)
石井 靖 中央大学, 理工学部, 教授 (60143541)
藤田 伸尚 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (70431468)
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キーワード | パラジウム代替 / 価電子帯構造 / Ni-Co / 単結晶 / 規則構造 / 酸化物 |
研究概要 |
本年度も引き続き価電子帯構造がPdに似通うNi-O_1およびNi-O_1合金について、バルクと表面との両方の視点から調べた。調査内容を以下に項目ごとにまとめる。 1)価電子帯構造と触媒特性がPdに類以しているNi-O_1,Ni-Co合金の電子構造をSPring-8にて放射光を用いて調べた。価電子帯において、Niのバンド幅が計算よりかなり広いことから、表面にNiの酸化こよる影響と考えられる。また、内核のCu2p_2/3とNi2p_2/3はともに低エネルギー側にシフトしていることから、酸化の影響を否定できない。さらなる実験と検討が必要である。 2)状態図ではNi-CoとNi-Cuはいずれも全率固溶となっているが、Ni,CuとCoの3元素の電子数が近いため、X線や電子線回析による検証ができなかった。本研究では、NiCoとNiCuの単結晶の作製を試み、単結晶を用いた構造解析を行った。結果として約5mm径のNiCoの単結晶を成功にし、単結晶による構造解析を高エネルギー研究機構にて行った。初期の結果として、Ni-Coの間に短範囲規則性を有していることが明らかにした。これからもさらなる詳細な調査が必要である。 3)Ni-Coの酸化・還元反応で、NiCoO_2という化学量論的組成をもつ新しい複合酸化物を発見した。NiCo合金から酸化で形成されたが、所定組成に配合した酸化物からの焼成にも形成されることが確認された。この新しい化合物そのものは、触媒性能を示す可能性があるだけでなく、磁気的ににも興味深い特性が現れることが期待される。この結果は本研究の予想外の成果となる。 4)異なる組成のAl-Ni-Co準結晶をリーチングした試料について、メタンの水蒸気改質反応を評価した結果、Ni/Co=1の試料に極めて高い触媒活性を示すことが明らかになった。 以上のように本研究において、概ね初期の目的を達成したほか、いくつか新しいシーズになりうる成果を得ていることから、今後の継続研究に大いに期待できると考えている。
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