研究課題/領域番号 |
19206081
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
武津 典彦 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (80029355)
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研究分担者 |
栗田 典明 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (20292401)
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キーワード | 固体イオニクス / プロトン伝導 / 燃料電池 / 水素センサ / 水素透過 / アルミナ / 欠陥構造型プロトン導電体 / H/D同位体効果 |
研究概要 |
昨年度の結果に引き続いてレドックス型のプロトン伝導発現のメカニズムを調べるため、Coをドープしたαアルミナの単結晶について、電気伝導度の雰囲気依存性、IR吸収スペクトル分析、UV-vis吸収スペクトル分析を詳細に調べた。電気伝導度、OH伸縮振動に伴うIR吸収係数は水蒸気分圧、酸素分圧には依存せず、水素分圧のみに依存し、その依存性は水素分圧の1/4乗に比例することが認められた。一方、UV-vis吸収スペクトル分析によるとCoは殆ど3価イオンの形で存在することが認められ、プロトンの溶解量を決める欠陥平衡はCo_<Al>^×+1/2H_2=Co_<Al>'+H_i^-である事が明らかにされた。このことにより、ドーパントの価数変化に伴うプロトンの溶解、すなわち、レドックス型フロトン伝導発現メカニズムが明確になったと考えられる。また、この系においては、水素分圧を下げるに伴い電導度が上昇に転じることが認められた。これはAlに置換しているCoの外殻電子のエネルギーが価電子帯近くの深いレベルにあり、水素分圧が低い場合には熱活性した価電子帯の電子を補足して正孔伝導を発現させるのが原因では無いかと考えられるが2価の不純物イオンの影響も考えられ、未だ明確ではない。 さらに、昨年に引き続いて、アルミナとマグネシアを溶解させた溶融塩を熱分解させることによって作成した微粒子を低温で焼結することによって、Mgを過飽和に含むアルミナの焼結体を作成することによりプロトンの溶解量を増大させる方法について検討した。焼結を低温で進めるため放電プラズマ焼結を用いたところ、1250K程度の低温においては、今までのMg過飽和状態のアルミナが示した最大の電導度よりも若干ではあるが大きな電導度を示す事が認められた。微粒子作成条件、焼成条件を整えることにより、さらに電導度の高いアルミナ系プロトン導電体が調製できる可能性があると考えられる。
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