欠陥構造型プロトン導電性酸化物ではアクセプタードープによる正電荷不足を侵入型プロトンで補う形で水素が取り込まれるので、ドーパントを強制固溶させることによりプロトン電導度を増大させることが期待できる。本研究では、アルミナ基の系に於いて、(1)ドーパント成分を含む第二相との高温平衡状態を凍結する、(2)三価の遷移金属ドーパントを強制還元する、(3)ドーパントを過飽和に含む低温合成の非晶質系粉末を低温焼結する、方法を用いてドーパントの過飽和状態を達成し、より高い電導度をもつプロトン導電性酸化物を創製することを試みた。その結果、第一の方法では高温平衡状態の雰囲気を調整することで、第二の方法では適切なドーパントを選ぶことで、第三の方法では適切な焼結処理をおこなうことで、より電導度の高いプロトン導電性酸化物が得られることが確認された。
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