メタン部分酸化(POM)用メンブレンリアクターでは膜材料として(Ba_<0.3>Sr_<0.7>)_<0.98>Fe_<0.9>Ga_<0.1>O_<3-δ>、POM触媒としてハイドロタルサイト前駆体から調製したNi/Mg-Al-Oを用い、反応律速過程の評価を行った。膜厚やカソード表面状態を変えて測定を行ったところ活性に大きな違いは見られなかったことから、アノード面での触媒反応が律速であることが示唆された。そこで、アノード面での反応をより詳細に検討するため、触媒厚を19~114μmに変化させて反応を行った。その結果、114μmと35μmでは各特性値に変化はないが、19μmではCH_4転化率が低下し、CO_2選択率、H_2O選択率が増加することがわかった。したがって、アノード側の膜近傍で透過してきた酸素によるメタン完全酸化反応が優先的に進行し、生成した二酸化炭素や水蒸気による改質反応によりメタン部分酸化が進行していることが示唆された。 次に、プロトン導電体相と電子導電体相を有する混合導電体(異相混合導電体)膜を用いた、水素分圧差を駆動力とする水素分離について検討を行った。プロトン導電体としてNafion、電子導電体としてNickel foam(Ni)膜とCarbon paper(C)膜を用いた。Nafion/Ni膜を用いた透過試験ではH_2とN_2の透過がみられ、膜に細孔が存在すると考えられた。そこで、耐酸性を示す電子導電体としてCを用いて膜を作製した。いずれの膜もN_2の透過はみられず、H_2、Heの透過が見られたことより、細孔が存在してもその大きさはN_2分子より小さいと考えられる。Nafion/C膜の透過速度はH_2に比べてHeの方が大きいが、H_2の解離、再結合触媒として機能するPt触媒を添加した膜の透過速度はHeよりH_2の方が大きくなり、Nafion/C/Pt膜では水素の電気化学的透過の可能性が示唆された。
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