研究概要 |
レーザー支持爆轟波の物理の解明の研究において、21年度は主として以下の研究を行った。 1.シャドーグラフ法によるガラスレーザー誘起爆轟波伝播の測定 波長の異なる炭酸ガスレーザーと比較し、レーザー支持爆轟波(LSD)維持条件の波長依存性を調べた。高解像度ICCDカメラによる非定常現象の高精度な可視化画像により、衝撃波と電離波面の時間履歴から、ガラスレーザーの爆風波エネルギー変換効率は、炭酸ガスレーザーの効率と比べて劣らないが、プラズマを透過するエネルギーの割合が大きいことが明らかとなった。 2.発光分光法によるガラスレーザー誘起プラズマの電子温度計測 炭酸ガスレーザーと比較してプラズマの生成時間の短い(数百ns程度)ガラスレーザーの発光分光を、エッシェル分光器を用いて測定した。局所的熱平衡仮定を利用し、ボルツマンプロット法で電子温度を求めた結果、20,000Kを上回る温度を示した。これらの結果は、今後の数値解析との比較検証に供しうる、貴重なデータである。 3.LSDの加熱構造と衝撃波伝播の物理モデルの解明 LSD内部の逆制動放射係数及びレーザー吸収係数を推定し、LSD維持と電子数密度分布との密接な関連を明らかにした。特にガラスレーザーの場合、吸収層厚みがレーザー直径に比べて必然的に大きくなり、面吸収というより体積吸収という特徴を示すことが明らかとなった。必然的にレーザー吸収が爆風波内で完了せず、透過損失が増えることにつながっていると推察される。
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