研究概要 |
22年度は主として以下の2つの研究を行った。 1.2波長マッハツェンダー法によるプラズマ密度分布の測定 Nd:YAGレーザー2次高調波(波長532nm,出力8mW)及び赤外半導体レーザー(波長785nm,出力50mW)を用い利用した2波長マッハツェンダー系でレーザー支持爆轟波の電子密度を再測定した.さらにエッシェル分光器で得られた電子温度履歴を組み合わせることによりレーザー爆轟波の熱化学的構造を解明した。その結果,レーザー爆轟波が維持されている最中は衝撃波面において少なくない電子密度が既に存在し、その前方にも電子(プリカーサー電子)が存在することが予見された。さらにその電子が、プラズマ領域からの真空紫外輻射による光電離に起因している可能性について理論的に検証した。衝撃波前方に先駆電離層が存在していることが定量的に議論されたのは世界で初めてであり,日本航空宇宙学会誌及びJournal of Applied Physicsに論文が掲載された. 2.レーザーシャドウグラフ法によるレーザー支持爆轟波の気体種伝播特性 先駆電離層形成における光電離構造を明らかにするためにガス種を変えて,その伝播特性とプラズマ状態を比較した.高解像度ICCDカメラによる非定常現象の高精度な可視化画像により、衝撃波と電離波面の時間履歴から、アルゴンと実験室空気で比較した結果,アルゴン気体中ではレーザー爆轟波を長く維持できることが分かった.さらに光電離を起こす紫外光子の輻射間隔を見積もった結果,約1nsのオーダーに達すると現象が終了することがわかった.
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