航空機操縦の自動化が進む中で、パイロットのヒューマンエラーに起因する事故が7割以上を占めるに至っている。航空機輸送が増加する中、航空安全を向上させることは社会的な重要課題であり、そのためにはヒューマンエラーをなくす最大限の努力が必要となっている。ヒューマンエラーの研究には、機械的な故障を扱うハードウェア、計算や手続き上の過誤を扱うソフトウェア以外に、人間の判断、行動、操作を解析できるヒューマンウェアに関する研究が必須であり、これまでに、「ニューラルネットワークによる人間の情報処理・操縦技能分析」、「操縦のワークロード分析」、「ローリスクな最適操縦技術」を運航会社との連携により推進してきた。本計画では、より多くのパイロットの着陸操縦の分析を実施するとともに、最適操縦との関連を調査し、体系的なパイロット操作の研究を実施し、飛行中の意思決定に関する分析まで統合的に組み込んだ解析・評価手法の確立を目標とする。さらに、本研究で開発するヒューマンウェア解析ツールを活用してコンピュータによる自動操縦システムとパイロットのマニュアル操縦さらに意思決定の理想的な関係に関して解析、分析し、そのあるべき姿の提案もおこなう。
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