| 研究概要 |
CFD,水槽/風洞試験,自航模型試験による先行研究で,表面効果翼船の波浪上流体力,巡航特性の一部が明らかになってきた。しかし飛行実証を主眼とした軽量模型では水力特性の把握に限界があり,離水時の所要馬力や,水力荷重を考慮した船体重量等の推定に課題が残っている。これらは新形式船の建造コストと商用路線の運航経費を検討する上で重要な要素である。そこで本研究課題の初年度では,以下の内容を検討した。
(1)滑走艇体に作用する流体力を考慮した離着水プロセスの運動シミュレーション
滑走体に作用する流体力の実験式と,表面効果翼船の空力モデルとを結合し,船体の離着水プロセスを評価可能な運動シミュレーションを作成した。これは,離着水時のピッチ操作による必要馬力の低減や,今後の波浪上の運動挙動の推定に用いる事ができる。
(2)水槽実験による流体力測定
表面効果翼船のロール安定性および旋回運動能力を評価するため,東京大学曳航水槽内に傾斜平面を設け,バンク角がついた飛行状態における流体力およびモーメント計測を行う。これについては,傾斜平面の製作が終了した段階である。また横浜国立大学の高速曳航ガイドを用いて離着水挙動および衝撃荷重を計測するため,実験装置の準備作業が進行中である。
(3)WISESに適した構造の検討
離着水時の荷重評価を基に,商用利用を前提としたWISESの構造設計を行う。これについては,初期段階の荷重推定と,複合材試験片の製作を行っている。前述の運動シミュレーションおよび水槽試験をもとに荷重推定の信頼度を上げ,より具体的な構造検討と建造コストの推定につなげていく。
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