研究概要 |
本年度の当初計画では,MATLAB/Simulink/RealtimeWindouwsTarget/VirtualRealtyToolboxを用いて,昨年度暫定的に開発したリエントリ作業支援シミュレーターに加えて,ヘッドマウントディスプレイシステム(HMD)を購入し,ライザー管下端位置をROV(遠隔操縦無人潜水艇)に搭載したカメラから見た3次元画像を模擬することとしていた。 平成20年11月開催の国際会議PACOMS2008における研究者との討論を通して,シミュレータにおける3次元画像表示は望ましいが,潮流下でも下端位置のずれを正確に模擬できるかなど,運動方程式の妥当性に関するコメントが多かった。これを受けて,ライザー管上端部に潮流をあてることのできる1軸トラバース装置(簡易リエントリ実験装置)を製作し,シミュレータと実験の照合を通して,運動方程式の妥当性とリエントリ作業支援に有用な表示情報について検討した。 具体的には,新しく追加導入した1軸トラバース装置に取り付けたライザー管模型の下端を,水中固定カメラで撮影し,被験者(訓練を受ける者)はその映像だけ見て,実際の状況に近い形で,リエントリ作業を試みさせると,一般にうまく行かない。しかし,開発したシミュレータを用いて一定の訓練を積んだ後,1軸トラバース装置を用いたリエントリ作業において改善が見られ,訓練シミュレータの有用性を部分的に実証できた。このことは,同時に,運動方程式の妥当性の確認とリエントリ作業支援に有用な表示情報についての検討ができたことを意味する。
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