研究概要 |
「深海掘削船のリエントリ時操船訓練シミュレータおよび操船支援システムの開発研究」の最終年度として,次を実施した。 (1) 平成20年度に導入したライザー管リエントリ実験装置(長さ1mライザー管模型の上部20cmは回流の影響を受けるようにして,その上端位置を1軸トラバース装置によりボールネジ駆動するもの)において,1mライザー管模型の下端位置を水中カメラでモニタリングし,これだけの情報に基づいてジョイスティック操作するリエントリ操作卓を開発した。 (2) 1mライザー管模型は,動力学的相似則と幾何学的相似則を考慮して,実機(全長2500m,表層流深度200m)を想定しているが,これに対する訓練シミュレータに組み込むリエントリ作業支援機能の生成のために,新たにリエントリ自動制御則を水中移動速度によるスケジューリング制御(LPV制御)の観点から再検討した。また,比較的浅い場所での想定実機(全長1000m,表層流深度500m)に対してもリエントリ自動制御則を検討した結果,スケジューリング制御よりむしろロバスト制御則が有用であるであることがわかった。さらに,リエントリ時間は1次モード周期(全長2500mの場合約200秒)の4倍程度で済むことが分かった。 (3) 平成19年度に開発したリエントリ訓練シミュレータにリエントリ操作卓を接続し,被験者(訓練を受ける者)のリエントリ作業を支援できるようにした。1mライザー管模型に対して,まずシミュレータでリエントリ作業を支援し,次に実験でその効果を確かめた。被験者の訓練過程すなわち学習過程を支援する機能を,モデル予測制御の観点から考察し,人間機械系の安定性について検討することは,今後の課題とした。
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