研究分担者 |
平野 伸夫 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教 (80344688)
岡本 敦 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教 (40422092)
根本 克己 東北大学, 大学院・環境科学研究科, COEフェロー (20396427)
小川 泰正 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 科学技術振興研究員 (50422093)
狩野 真吾 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 科学技術振興研究員 (10370793)
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研究概要 |
東日本に分布する内湾性海成性堆積物,とくに鮮新世竜ノ口層を採取し,この堆積岩中に含まれる重金属類の蛍光X線分析,環境省告示第18,19号に則った水溶出試験とHC1溶出試験を実施した.さらに,秋田県北鹿地域の未変質岩石,変質岩石,土壌(A層,B層,およびC層),河川堆積物と河川水についてサンプリングを行い,これらに含まれる重金属類の含有量と重金属類の化学形態に関する検討を行った. 竜ノ口層には,相当量のAsとGdが含まれており,自然状態であっても既に環境省が示している自然由来重金属含有量の目安の値を越えている.堆積岩の化学組成で,FeとSには高い相関があることから,重金属類,特にAsは,フランボイド状の黄鉄鉱に含まれていると推定され,この黄鉄鉱と水との接触により容易に黄鉄鉱が溶解して硫酸酸性溶液を作り,これにより重金属類の溶出が加速されることを見いだした.また,風化の状態により,重金属の溶出挙動に著しい差異が認められ,内湾性海成性堆積物空の重金属溶出メカニズムは複雑であることが推定されるが,一方で水との接触を遮断することにより重金属類の溶出を抑制させることが可能であると推定される. 内湾性海成堆積物には,基準値を上回る重金属類が含有されており,また容易に溶出することを明確に明らかにした.フィルターによる粒度別分析,溶離液との反応性の違いを利用した逐次抽出法により,重金属類の化学形態を推定した.これらの結果,重金属類の溶出は主として真溶存種として含まれるが,河川環境や溶出元の岩石や土壌の性質に依存して,コロイド状粒子となることを明らかにした.また,土壌に比べ岩石のほうが,重金属の溶出リスクが高いことを明らかにした.
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