研究概要 |
複合ハロゲン化酸化物の生成条件の確立ならび生成条件・安定性の物理化学的検討 昨年度に引き続き、カルシウム系ならびにカルシウムアルミネイト系の複合ハロゲン化酸化物の生成を行い、安定生成条件を調査した。実験方法は、昨年度自作したガス流通式反応装置を用いて、ガス中のHCl分圧、O_2分圧、水分量を調整して反応実験を行った。その結果、200℃、Ar-5%O_2-0.1%HCl-10%H_2Oの流通ガス(100ml/min)の条件化では、Ca(OH)_2(水酸化カルシウム)からはCaClOHが生成し、CaCl_2までの反応の進行は見られなかった。従来の熱力学データで推算したオキシハロゲン化合物の安定条件と実験の結果を比較検討することにより、Ca(OH)_2はCaClOHと平衡してCaCl_2とは直接平衡しないことから、Ca(OH)_2を過剰に吹き込む条件の焼却炉排ガス処理系では、CaClOHが優先的に生成して脱塩素が進むと示唆された。 重金属酸化物の臭素化反応実験 昨年度に引き続き、代表的な臭素系難燃剤であるTBBPAの熱分解により生成するHBrガスによる重金属酸化物(ZnO,Fe_2O_3,PbO, Cu_2O,Sb_2O_3)の臭素化反応実験を行った。この臭素化反応実験により、TBBPAの熱分解に伴う重金属臭素化物の生成条件ならびに臭素系のオキシハロゲン化合物の生成の可能性を調査した。実験試料はTBBPA粉末と重金属粉末の混合試料とし、DSCによる熱分析ならびにTG/DTAによる熱重量分析で反応解析を行った。また、小型炉による反応実験も行った。小型炉での実験温度は250~650℃とし、実験後の固体残渣、揮発回収物、水ならびにヘキサンによるガス捕捉物を、ICP、イオンクロマト、XRD、EPMA、GC/MSにより分析を行い、重金属臭素化物の生成条件ならびに臭素系のオキシハロゲン化合物の生成の有無を調査し、各重金属酸化物の臭素化揮発条件ならびに臭素化物の生成条件を明らかにした。
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