研究課題/領域番号 |
19206100
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
室賀 健夫 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 教授 (60174322)
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研究分担者 |
長坂 琢也 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 准教授 (40311203)
田中 照也 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 助教 (30353444)
近藤 正聡 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 助教 (70435519)
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キーワード | 低放射化フェライト鋼 / 液体リチウム / 核融合炉ブランケット / 腐食 / 共存性 / 物質移行 |
研究概要 |
近未来の核融合炉構造材として期待される低放射化フェライト鋼(Fe-9Cr-2W-C合金)と高トリチウム生成効率が期待される液体リチウム増殖材との両立性試験を行った。まず、わずかに自然対流のみが生じるポット形浸漬試験装置を設計製作し、700℃までの温度範囲で最大750時間までの浸漬試験を行った。純鉄、Fe-Cr二元合金、低放射化フェライト鋼の腐食を比較し、純鉄が最も腐食が少ないことが明らかになった。また、低放射化フェライト鋼の腐食は600℃以上で急増すること、接液表面近傍において、炭素が溶出することにより、マルテンサイト相がフェライト相に変化し、局所的に軟化すること、などが分かった。炭素溶出による相変化はこれまで報告されておらず、新しい腐食機構として重要な発見である。また、表面近傍ではクロムとタングステンの濃度も減少し、組成が純鉄に近づくことが明らかになった。純鉄が耐食性に優れていた結果と合わせると、この組成変化は低放射化フェライト鋼の腐食の飽和機構を示唆するものであり、重要な成果である。次に、循環流動型の試験装置を設計、製作した。500℃において浸漬試験と循環流動試験による腐食を比較したところ、循環流動の場合のほうが腐食量が5-10倍大きいことが分かった。ほぼ同条件で浸漬試験と循環流動試験を比べた研究はこれまでほとんどなく、流動効果を示す貴重な成果である。以上のように、低放射化フェライト鋼の液体リチウム腐食特性を調べ、温度依存性を明らかにするとともに、腐食機構、腐食の飽和の機構、循環流動効果などに関しての重要な成果を得た。
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