研究課題/領域番号 |
19206100
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
室賀 健夫 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 教授 (60174322)
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研究分担者 |
長坂 琢也 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 准教授 (40311203)
田中 照也 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 助教 (30353444)
近藤 正聡 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 助教 (70435519)
菱沼 良光 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 助教 (00322529)
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キーワード | 低放射化フェライト鋼 / 液体リチウム / 核融合炉ブランケット / 腐食 / 共存性 / 物質移行 / 不純物効果 |
研究概要 |
近未来の核融合炉構造材として期待される低放射化フェライト鋼(Fe-9Cr-2W-C合金)と高トリチウム生成効率が期待される液体リチウム増殖材との両立性試験を行った。20年度から開始した強制流動形浸漬試験を発展させ、液体リチウム静的浸漬下と強制流動下の腐食特性の違いを比較した。その結果、強制流動下では、低放射化フェライト鋼のラス境界の侵食に伴う小粒子単位での剥離と見られる表面の凹凸が観察され、流動によるエロージョン効果が明確に示された。また、リチウムに窒素、酸素、炭素をそれぞれ加えた浸漬試験を比較し、窒素添加が他の不純物添加に比べ腐食を大きく促進することが明らかになった。また長期的な低放射化材料として期待される、バナジウム合金(V-4Cr-4Ti)、酸化物分散強化フェライト鋼(ODSフェライト鋼)についてもリチウム浸漬試験を行い、バナジウム合金は腐食損失が少なく、熱時効効果に伴う強度変化のみが観察された。一方、ODS鋼では、低放射化フェライト鋼より激しい腐食が観察された。ODS鋼は高密度の酸化物粒子を分散強化したもので、酸化物粒子のリチウム中の安定性が低いことが原因と考えられる。酸化エルビウムによるブランケット用絶縁被覆を施した材料の液体リチウム浸漬試験を行い、基板表面に酸化層が顕著に形成する被覆条件ではリチウム耐食性が低下することが明らかになった。次に、液体リチウムをもう一つの候補液体金属増殖材であるLi-Pb合金に代えて低放射化フェライト鋼の浸漬腐食試験を行った。Li-Pbは液体リチウムより一般に腐食は大きいが、表面の凹凸形成も激しく、粒界腐食がより進行しやすいことが示唆された。
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