研究分担者 |
田中 知 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10114547)
門 信一郎 東京大学, 高温プラズマ研究センター, 准教授 (10300732)
斉藤 拓巳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (90436543)
小田 卓司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (40436556)
中山 真一 日本原子力研究開発機構, 安全研究センター, グループリーダ (10370446)
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研究概要 |
高レベル放射性廃棄物の深地層処分に関して,地下水環境中に存在するコロイドが放射性核種の移行を遅延ないしは促進する効果が指摘されている.したがってコロイド移行の理解は性能評価上重要である.現状において地下水中におけるコロイドの移行評価シナリオではコロイドの周囲岩盤へのマトリクス拡散は起こらないと仮定されているが,コロイドのサイズが十分小さい場合には岩石内の細孔に侵入する可能性がある.そこで本年度は,放射性廃棄物地層処分における性能評価の信頼性向上を目的とし,花崗岩亀裂を模擬したマイクロリアクタを用いてコロイドの破過曲線を取得し,コロイドの岩石マトリクス内への拡散についての検討を行った. 花崗岩ならびにテフロン板を用いた場合の破過曲線を比較した結果,花崗岩を用いた場合には破過曲線のプラトー領域でのラテックス濃度が,テフロン板の場合よりも低いことがわかった.一般にラテックス粒子と花岡岩表面は負の表面電荷を帯びているとされ,静電反発作用によりラテックス粒子の花岡岩表面への吸着は起こらないと考えられる.また水銀圧入法により花崗岩中の細孔径分布を測定した結果からは,0.028μm以上の径を持つ細孔が空隙体積の90%以上を占めていることがわかった.したがって物理的サイズからはラテックス粒子は花岡岩マトリクス内へ拡散可能であると考えられる.以上のことから花崗岩のラテックス濃度が減少しているのは,マトリクス拡散によるものであることを明らかにした.
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