研究概要 |
950keV Xバンドライナックにタングステンターゲットを取り付け,X線発生試験を実施し,X線の透視画像の取得により,X線発生を確認した。今年度購入したX線スペクトル検出器であるGe検出器を用いてスペクトル計測試験を実施し,数値計算結果との比較を行った。また,950keVXバンドライナックとタングステンターゲットにより発生したX線を用い,フラットパネル検出器によりX線透過像の取得を行った。U(ウラン),Pu(プルトニウム)を模擬したPb(鉛)を用いてX線透過像を取得し,Fe(鉄)等との識別が可能である事を確かめた。X線ラインディテクタシステムの構築を行い,ディテクタによるX線検出を行った。20MeVSバンド(2856MHz)ライナックを用いて,ビームエネルギーを調整し,X線エネルギーが4,8MeVになるよう最適化を行った。核物質検知技術では,14MeV中性子直接問掛け法における検出限界改善のためにはバックグラウンド低減化が最重要要素であるので,現在所有する検出体系でのバックグランド発生メカニズムを解明するため,中性子輸送シミュレーション実験をおこなった。その結果,検出体系のバルク材がバックグランドの発生起源であることを突き止めた。そのバルク材に代わる材料を見出すために,中性子輸送シミュレーション実験により見込みのある物質について計算解析を行った。その結果,鉄(Fe)系材料が熱中性子を吸収し高速中性子を反射する性質があり,バックグランドを低減させるための検出体系のバルク材として有望であることが分かった。 爆薬検知技術では,14MeVD-T加速器中性子と爆薬の主要成分を成す元素との(n,γ)反応率を求めるためモンテカルロシミュレーション計算を実施した。計算では,窒素・炭素・酸素との(n,v)反応率を効果的な中性子エネルギーを見定めるため14MeV中性子を段階的に減速し,高,中,低エネルギーの中性子による爆薬中の窒素との(n,γ)反応率を求めた。
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