研究課題/領域番号 |
19206103
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀池 寛 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20252611)
|
研究分担者 |
福田 武司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50354585)
鈴木 幸子 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20403157)
山岡 信夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 技術専門員 (80444561)
|
キーワード | 自由電子レーザー / 非熱加工 / 焦点深度 / レーザープラズマ / 超音波 |
研究概要 |
大阪大学の自由電子レーザーは、強力な近赤外レーザー光源である。この光はパルス幅が5ps以下と非常に短く、先頭値が高く、波長可変性に優れるなど、非熱加工に適した特性を有する。昨年度までに加速器側の整備を進め、実際にステンレス、ジルカロイ、木材などの素材を加工する実験を行って、比熱加工に適した光性能と、光学系の基礎データ、切断加工のための条件を実証した。 本年度は光学系が切断々面形状に与える効果を更に詳しく調べることとし、ビームを焦点深度が深く、同時に直径をできるだけ小さくできるような光学系の試験を行うために、Nd:YAGレーザーも使用して、光を絞るためのレンズ系の焦点距離と表面熱負荷の影響を中心に実験を進めた。その結果、レンズの焦点距離を長くとることによって、表面からの切削加工断面が幅狭く且つ深く掘削加工できることが実験的に確認された。また加工中の構造材を、加工部分から少し離れた個所から超音波測定することによって、加工中の表面状態をリアルタイムで判別するための原理検証実験と基礎的な実験データを取得できた。また光を収束すると電界強度が上がり大気圧プラズマが生成され、プラズマの屈折によってレーザー光が散逸されるので、プラズマ生成を避ける必要があることが実験として確認された。大気圧プラズマの生成はレーザーパルスの持続時間と電界強度で決まり、その点での短パルスレーザーの優位性が示された。またレーザー光の素材表面での反射率を計測し、あるがままの表面状態にても清純表面での評価値とオーダー的に一致することを実験的に確認した。以上、光学系が加工掘削形状へ与える基礎的な条件を確認することができ、厚い構造材を幅狭く深く加工するためにレーザー光およびその導光のための光学系が備えるべき条件が実験的に確認された。
|