従来のレーザー切断法ではレーザーを高密度熱源として利用し、空気や酸素ガスなどのアシストガスを吹き付け、燃焼させて切断するので、この方法では厚い材料を幅狭く切断加工することは非常に困難である。 原理的に新規な方法として、近赤外自由電子レーザー(FEL)による高強度で高品質なレーザー光を非常に短いパルスで照射すると、材料表面近くを急速に加熱できる。これによれば、表面からの急速な昇華によって素材の表面を深く掘り込み、ひいては切断することが可能であるが、種々の加工に適用するには基礎研究を行う必要がある。この方法では、光ビームの直径で加工されるので、極小ビームに収束すれば極めて狭い幅で加工切断ができる。また光は直進するので、狭く深く切ることができる。この実験研究を大阪大学の自由電子レーザー装置と日本原子力研究開発機構の装置を駆使して進める。これより高汚染高放射化した炉容器等大型構造物の切断にて、放射性物質の飛散抑制と、二次生成物の極限までの低減を可能とする新しい切断加工技術の実現を目指すことができる。
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