研究課題/領域番号 |
19206104
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
石田 武和 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (00159732)
|
研究分担者 |
野口 悟 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (70180718)
川又 修一 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (50211868)
北條 喜一 (独)日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究推進室長 (40133318)
町田 昌彦 (独)日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, シミュレーション技術開発室長 (60360434)
加藤 勝 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (90204495)
|
キーワード | MgB_2素子超伝導検出器 / 中性子 / ピエゾ式XY走査機構 / ナノ領域分析電子顕微鏡 / 薄膜温度計 / 窒化クロム薄膜 |
研究概要 |
本研究の目的は、MgB_2検出器のアレー構造へと研究を高度化させ、中性子のイメージングに応用することである。超伝導体中のボロン同位体^10Bとの中性子核反応によるナノスケールの局所熱を利用して、一つひとつの熱中性子をカウントでき、研究代表者により提案され、中性子捕捉に成功している。石田は、研究計画の遂行と総括を担当した。20psパルスレーザーとピエゾ方式XYZ駆動ステージを利用した2次元走査できる機構を製作し、1x4CH、2x2CHのシステムへ適用した。その結果、MgB_2検出器の一様性が検出効率の確保に必要なことが分かった。野口は、LaB6を用いた時期カロリーメーター方式の中性子検出器の基礎原理をしらべるために、高品質単結晶の評価と化工を担当した。川又は、LabVIEWによるシステム化とパルスレーザー核反応模擬実験を担当した。加藤は、3次元有限要素法を用いて、Bogoliubov-de Gennes方程式を解く数値計算プログラムを開発した。これは、今後超伝導検出器内の準粒子の非平衡状態の時間発展を調べることに利用できる。北條は、ナノ領域分析手法の開発により、ZrO_2内の欠陥ループを分析電顕により観察・分析した。研究用原子炉等の修理等による運転中止のためマシンタイムは実現できなかった。町田は、高精度大規模シミュレーションの結果を受け、MgB_2の電子構造とシミュレーション結果の関係について、MgB_2マルチバンド超伝導を記述する時間依存ギンツブルク・ランダウ方程式を導出できた。佐藤と宇野は、中性子検出装置に用いるためのCr-N薄膜を用いた磁場中でも使用できる温度計の開発を行なった。大型冷凍機による室温から4K程度まで電気抵抗率が測定できるシステムを構築し、Cr-N薄膜の窒素含有量のわずかな差異が電気抵抗率の温度依存性および格子間隔に影響を与えることを示した。四谷は、窒化クロムの室温から0.6K近傍まで高感度に計測可能な温度計を開発した。この温度計の磁気抵抗効果は極めて小さく10Tの磁場下で温度誤差10mK以下が達成できることが分かった。王は、カルーセル型スパッタリング装置で高品質・表面の平滑なMgB2薄膜、NbN薄膜を成膜した。島影は、10nmの膜厚を持つMgB_2薄膜において、20Kの臨界温度を示す薄膜の作成に成功した。ジョセフソン接合MgB_2/Al/AlN/MgB_2の開発では、オーバーダンプ型ジョセフソン接合の特性が得られることを示した。次年度は、最終年度に向けてとりまとめの実験を行う予定である。
|