研究課題
本研究の目的は、MgB_2検出器のアレー構造を中性子のイメージングに応用することである。超伝導体中の同位体^<10>Bと中性子の核反応熱を利用して熱中性子を捕捉することに成功した。20psパルスレーザーとピエゾ方式XYZ駆動ステージ走査機構を利用して、1×4CH、2×2CHの多チャンネル測定システムの開発を行った。多素子評価のために、デジタルボルトメータ、スキャナーカード、多チャンネル電源による特性評価計測システムを構築し、素子作製から評価までのサイクル時間を数日に短縮し、素子間のバラツキのない素子を開発することに成功した。中性子照射実験については、10月16~17日にマシンタイムの配分を受け、前後の現地調整も含め出張実験を行った。この段階で、J-PARCセンター内の環境電磁雑音が非常に多く、十分な信号・雑音比が得られなかった。2度目の中性子照射実験を平成23年1月以降に延期し、J-PARCセンターにてオフビーム実験を行い、遮蔽効果の高いセミリジッドケーブルの使用、コモンモード雑音低減化のため差動増幅器の使用による雑音低減を実施し、入射中性子のエネルギーを下げるためにポリエチレン板を冷凍機に取り付ける改造を施した。1月上旬にJ-PARCセンターより、3月末までは追加マシンタイムの配分が難しいとの連絡を受け、装置一式を再び大阪に移しレーザーによる試験を実施し、J-PARCセンターでの実験に備えていた。3月11日に東日本関東大震災のためにJ-PARCが被災して追加のマシンタイムを得ることが絶望的となった。関連して、LaB_6を用いた磁気カロリーメーター方式の中性子検出器の高品質単結晶の加工、3次元有限要素法によるBogoliubov-de Gennes方程式による検出器の準粒子非平衡ダイナミクス、ナノ領域分析手法による結晶内の欠陥ループの分析電顕観察、MgB_2のマルチバンド超伝導を記述する時間依存ギンツブルク・ランダウ方程式の導出、中性子検出装置のためのCr-N薄膜温度計の開発、スパッタリングによる高品質で平滑なMgB_2薄膜、NbN薄膜の成膜、10nmの膜厚でTc=20KのMgB_2薄膜の開発を実施した。
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