研究課題/領域番号 |
19207005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹井 祥郎 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10129249)
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研究分担者 |
安藤 正昭 広島大学, 総合科学部, 教授 (10100976)
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キーワード | アドレノメデュリン / ナトリウム利尿ペプチド / アンジオテンシン / ウロテンシン / グレリン / 血圧調整 / 飲水行動 / 脳室周囲器官 |
研究概要 |
本年度は、飲水調節ホルモンの末梢投与や水電解質バランスを変化させた時に起こる飲水が、脳内でどのように受容されて飲水が制御されているかを明らかにする実験を行った。ウナギの脳内で血液脳関門がないことがわかっている最後野を、(1)熱凝固により破壊する、あるいは(2)最好野にカイニン酸を投与してニューロンを破壊する、などの処理をおこなった後に、飲水惹起ホルモンであるアンジオテンシンやアドレノメデュリン、飲水抑制ホルモンである心房性ナトリウム利尿ペプチド、グレリン、ウロテンシンIIを血液中に投与して、これらホルモンによる飲水の変化が処理以前と比較して減弱したか否かを観察した。また、(2)高張食塩水を投与する、(2)1ミリリットルの血液を脱血したり1ミリリットルの生理食塩水を輸液する、などの処理をして水電解質バランスを変化させ、その後に起こる飲水に対する最後野破壊の影響も見た。その結果、最後野はこれらホルモンや水電解質バランスの変化により変化する飲水に関与していることが明らかになった。例外はウロテンシンで、投与後に起こる血圧の上昇に伴い飲水が長時間にわたり抑制されるが、最好野の破壊はこの飲水抑制に影響しなかった。このように、血液脳関門をもたない脳室周囲器官である最後野が、血液中の飲水調節因子を受容する窓口になっていることがわかった。延髄にあり嚥下を調節している最後野のほかに、私たちは視床下部に血液脳関門を欠く部位を発見した。これは哺乳類で知られている終板器官であると予想しているが、今後はこの部位が陸上動物で惹起される「渇き」に関与しているか否かを調べる予定である。
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