研究課題
本年度は、多様なロドプシン類の分子性状の解析として、(1)エンセファロプシン(Enc-Op)と共役するGタンパク質の組織内での解析を試み、また、ロドプシン類の協調的機能発現の解析として、(2)パラピノプシンとパリエトオプシンの免疫組織化学的解析、(3)ハマダラカ視細胞におけるEnc-Op機能の電気生理学的解析、(4)魚類のEnc-Opの分布の解析を試みた。(1)〜(4)の結果は次の通りである。(1)ハマダラカにおけるEnc-Opと共局在するGタンパク質をin situ hybridizationで検討した。その結果、Enc-Op発現細胞にはGqが発現することを見出した。精製Enc-Opは、試験管内ではGi/Goを活性化するが、Gqを活性化する可能性も示唆された。(2)パラピノプシンとパリエトオプシンに対する抗体をウサギとマウスを用いてそれぞれ作製し、2重染色により共局在を検討し、両ロドプシン類の1つの細胞での共局在を証明した。(3)ハマダラカでは、Enc-Opは視細胞に発現しているので、細胞内記録による機能解析が期待できる。そのために、本年度はまず、Enc-Opが発現している視細胞の特定を試みた。その結果、Enc-Opは他の視細胞とは核位置が異なる特別な視細胞に存在するので、その細胞を狙った細胞内記録が可能であることが示唆された。(4)フグEnc-Opの様々な部位を抗原としてEnc-Op抗体を作製したが、組織での反応を検出できなかった。そこで、Enc-Op、メラノプシン、パラピノプシンの上流配列と緑色蛍光タンパク質素遺伝子をトランスジーンしたゼブラフィシュを作製し、魚類におけるそれらロドプシン類の局在の解析を開始し、まずそれらロドプシン類のプロモーター配列を取得した。遺伝子導入を行った結果、現在までにパラピノプシンとメラノプシンで、松果体部位に蛍光が認められるFoが得られた。
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