研究概要 |
(1) 二胚葉動物(クラゲ)のロドプシン類の生体における機能調節機構:定量的な解析により、明順応によるロドプシン類の視細胞先端部への移動は基端部においてロドプシン類が分解されているためであることが分かった。ロドプシン量の減少は分解で説明できるが、ロドプシン量の増加はロドプシンmRNA量の増加とは一致しないことが明らかになった。cAMP等による他の調節機構が示唆された。 (2) ニューロプシングループについて発現解析系の確立:ゼブラフィシュロドプシンのプロモーター制御下で、視細胞に発現させる遺伝子導入ゼブラフィッシュを作製した。発現させたニューロプシンは視細胞外節に運ばれており、電気泳動により分子量も確認できた。 (3) エンセファロプシンの多様性と協調的機能発現の解析: ・ハマダラカエンセファロプシンが特異的に存在する視細胞と共局在している視物質遺伝子を培養細胞系において強制発現した結果、青色感受性であった。一方、エンセファロプシンが存在しない個眼の同じ視細胞にはUV感受性視物質が存在していることを見出した。緑色感受性エンセファロプシンは青色感受性視物質と協調的に機能していると考えられた。 ・免疫組織化学的解析、In situ hybridization, GFP遺伝子導入などの解析により、エンセファロプシン類の1つは、メラノプシンが存在する水平細胞とは異なる種類の水平細胞に存在していることが示唆された。 (4) 視物質の新たな視覚機能:ハエトリグモが4層網膜の第2層で生じるピンぼけにより奥行き知覚を行っていることを、背景光の波長を変化させて餌取りジャンプの距離変化により解析した。長波長の光ほどレンズの屈折率が小さくなるため、ピンぼけから奥行きを測ると短いジャンプをすると推測される。赤色、緑色、白色光、でのジャンプを測定したところ、赤色光下でジャンプ距離が短くなることを発見した。
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