研究課題
平成19年度は、スズキ類(Percomorpha)を中心にミトコンドリア(ミト)ゲノム全長塩基配列のデータを集秘した一方で、スズキ類内部の部分的な系統解析において、魚類系統学上非常に重要な成果を二つ得た。その一つは、ベラ亜目魚類の系統学的実体を解明した成果である(Mabuchi et al.2007)。このグループは、サンゴ礁域で多様な食性の種へ分化したベラ類と、アフリカの古代湖で適応放散したシクリッド類を含んでいる。これらは、喉に特殊な顎(咽頭顎)を共通して持つことで共通の祖先から進化したグループとされてきたが、ミトゲノムに基づく系統解析を行ったところ、ベラ類とシクリッド類は、スズキ類の内部で全く独立に進化したことが判明した。この成果は、「ベラ亜目」の分類学的再検討の必要性を示しているだけでなく、「特殊な咽頭顎の進化は、様々な食性への特殊化を可能にしたキーイノベーションである」という有名な進化仮説を歴史的な再現性の点で支持するものであり、進化生物学上も非常に重要な成果である。もう一つの成果は、トゲウオ目の系統学的実体を解明した成果である(Kawahara et al.2007)。このグループは、モデル実験生物として重要なトゲウオを含むトゲウオ亜目と、タツノオトシゴやウミテングを含むヨウジウオ亜目とから構成されている。これらに含まれる全ての科の代表について、ミトゲノムに基づく系統解析を行ったところ、トゲウオ亜目とヨウジウオ亜目はスズキ類内で全く独立に進化したものであることが判明した。この成果は、実験生物として重嬰なトゲウオの進化を考える上で非常に重要な成果である。なお、平成19年度には、新型シーケンサーを用いた新しい塩基配列決定法の応用について検討を行ったが、現時点のスペックでは、コスト上もデータの粘度の上でも我々の研究に対しては有効でないと判断した。
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