研究課題
平成20年度は、昨年度に引き続き、スズキ類(Percomorpha)魚類のミトコンドリア(ミト)ゲノム全長塩基配列のデータ収集を行ったが、平行して行ったスズキ類の特定の一部を対象とした系統解析において、魚類学上重要な成果をいくつか得ることができた。代表的な成果としては、実験モデル生物として近年重要性がさらに増している2種類の魚類、メダカとトゲウオの系統的位置に関する成果が挙げられる。メダカを含むメダカ亜目は、ダツ類に近いという説とカダヤシ類に近いという説があったが、これまでの短い部分塩基配列に基づく解析では統計的に信頼のおける結果が得られていなかった。今回、ミトゲノム全長塩基配列に基づく解析を行ったところ、メダカ亜目は、カダヤシ類より、サンマやトビウオを含むダツ類により近いことが高い信頼性を持って提示された。更に、これらのスズキ類内部における系統的位置に注目すると、メダカやサンマ、トビウオ、カダヤシを含むトウゴロウイワシ系は、適応放散のモデル生物として注目されているシクリッド類とかなり近縁であることが判明した。一方、トゲウオの系統的位置に関しても新たな知見が得られた。これまでトゲウオ科の中で最も初期に分化したのは、これと姉妹群関係にあるクダヤガラ類と類似した細長い体型を持つS, spinachia であると考えられていたが、ミトゲノム全長配列と11個の核遺伝子に基づいた解析を行ったところS, spinachia は、トゲウオ科の中で最も派生的な種として位置づけられた。この結果は、トゲウオ科魚類の進化的柔軟性を示しており、今後トゲウオ類のゲノム進化を検証する上で非常に興味深い知見であるといえる。
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