研究概要 |
(1) Rhoキナーゼの局在制御の構造的基礎:細胞骨格を制御するRhoキナーゼは,細胞生物学のみならず循環器病や脊髄損傷等への応用の観点からも極めて重要である.本研究では,Rhoキナーゼの細胞内局在を制御するドメインの特異性やRhoキナーゼ特有の性質を三次元構造の観点から解明する. (2) ERMタンパク質の標的認識の多様性:Rhoキナーゼの重要な基質の一つであるERMタンパク質は,膜タンパク質とアクチン細胞骨格を連結する足場タンパク質の一つである.本研究では,CD44やCD43,あるいはPSGL-1といった重要な細胞接着因子や,NEP, MT1-MMPといった膜プロテアーゼとの複合体を解析してアクチン細胞骨格系を通した膜タンパク質の機能制御の構造的基礎を明らかにする. (3) 微小管伸張の動的制御:Rhoシグナルは微小管細胞骨格の制御にも関わっており,細胞極性の決定等においても極めて重要である.そこで微小管制御タンパク質+TIPの代表であるEB1, CLIP-170, CLASP等の微小管認識や+TIP間での相互作用を解析する. (4) 発展研究課題:以上の研究が順調に進んだ場合には,更にタンパク質の動的複合体の構造研究を発展させるために,細胞運動・極性の制御や癌細胞の転移・浸潤に関わるタンパク質の研究や,植物でのシグナル伝達の研究を開始して,研究の幅を拡大する.
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