研究概要 |
本課題は、分子モーターシステムの“酵素機能における力の役割"を1分子レベルから分子集合体、ひいては細胞に至るまでの階層構造に着目して研究することにある。本年度は、1)単一筋原線維を用いて、中間活性化条件(Caイオン非存在下で高濃度ADPによって活性化するADP収縮条件と、通常のCaイオン濃度を中間に設定した活性化条件)における、外力刺激に対する各筋節の応答性を調べ、応答するものとしないものとの2状態に分かれること、そして筋節間の力学連結性を明らかにし、それをもとに、多分子モーター系に特徴的な筋収縮・制御機構を明らかにした(Shimamoto, Y. et al.“lnter-Sarcomere Coordination in Muscle Revealed through Individual Sarcomere Response to Quick Stretch"論文投稿中)。2)カエル(Xenopus)卵の抽出液中で自己組織化された染色体分裂装置の力学特性(縦横の弾性率)と力学刺激応答に関する研究成果の第一弾をNature Methodsに発表した。一対のカンチレバーを用いて力を計測しただけでなく、分裂装置に大変形を加えると自発的に小さなサイズに再編成されるなどの新知見を得た。3)HeLa細胞に局所熱パルス(0.1から数℃の温度変化、1秒以上のパルス幅)を加えると、Ca振動が誘起されること、しかも、37℃付近では0.2℃ほどの小さな温度変化に応答することを発見。これにIP3受容体が関与していることを証明した( Suzuki, M. et al,“Highly thermosensitive Ca2+dynamics in a HeLa cell through IP3 receptors"HFSP J印刷中)。
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